伊勢河崎ときどき古民家

伊勢と河崎の町と神社と古民家と好きなものに囲まれた日々のコラムです

【伊勢の寺社】 平尾神社(伊勢市一宇田町)

彼岸花に誘われるようにお散歩をしていたところ、

こちらの神社に出会いました。

 

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平尾神社です。

すぐそばを近鉄の電車が走り、なんとものんびりとした風情です。

 

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境内は広く、社殿まで参道が伸びます。

 

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向かって左は古殿地でしょうか?

式年遷宮がなされる宮なのかな?と推察します。

 

御由緒書きなどは境内にはなく、

御祭神もわかりませんでした。

 

社殿の注連飾りには

「平尾神社御寶前」

とだけ記されています。

 

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参拝したのが朔日だったためか、

地元の皆様がお掃除してらしたようで

神社入口そばの児童公園のそばでご休憩中だったので

ちょっと質問させていただきました。


御祭神は不明、

明治に合祀して別の場所にあったのをまた戻した、

というお話を伺えました。

 

(出た!また明治政府の迷惑なあの法令のせいです!)

 

そして神社の蔵に史料が沢山あるでーって仰有ってました。

これは興味津々(笑)。

古文書から御祭神のヒントなど紐解けるかもしれませんね。

 

やはりフィールドワークは大事です!

 

 

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彼岸花の御導きで出会った神社は

地元の皆様が丁寧に御手入れをされているので

きらきらと明るい場所でした。

 

 

(2019.10.01.参拝)

 

【季節の花】 彼岸花のビュープレイスIN伊勢⑤

今週は、伊勢の彼岸花の見所スポットをご紹介してきましたが、

いかがでしょうか?

 

今日は最後にこんな場所をご紹介!

…それは、あちこちの田んぼのあぜ道です。

 

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伊勢では大概、8月末頃に稲を刈りますので

黄金色の田んぼと赤い彼岸花のコラボレーションは見られないのですが、

そこかしこの田んぼのあぜに、彼岸花が咲きます。

 

伊勢以外でもそうですが、田んぼのあぜに彼岸花…って多いですよね?

実はそれにはわけがありました。

 

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彼岸花を摘むと火事になる」などと言われ、

彼岸花は摘んではいけない…とよく言われますよね。

 

こういった脅し文句には理由があることが多いのですが、

この場合は「子供がうっかり彼岸花を摘んで口に入れないように」という理由からだと思われます。

 

彼岸花は球根で増えますが、その球根には毒性があります。

そこで昔の人は田畑にもぐらやネズミなどが入らないように彼岸花を植えたと言われています。

 

また、逆の話もあります。

彼岸花の地下茎にはデンプンが含まれていて、

水にさらして毒をきちんと抜ききると食用にすることが出来、

昔は飢饉に備えて田んぼのあぜ道に植えた…というものです。

 

ただこの毒抜き、めっちゃ手間がかかるようです。

素人は手を出してはいけない領域だと思われますので、

皆様食べないでくださいね!

彼岸花(ヒガンバナ)

 

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もうひとつ…

これも「彼岸花を切ってはいけない」という謂れのせいなのかもしれませんが、

彼岸花の造花って売ってないんです!!!

 

これは一昨年、展示会の仕事で彼岸花が必要になったときに調べてわかったことなのですが…

本当に売ってない!
あっても1輪3000円と高額なものしかない!!

 

よく彼岸花として売られている造花は「ネリネリリー」という似たお花なのです。

実は気付いちゃったのですが、欅坂46の「黒い羊」のPVで

平手さんが手にしているのも、ネリネリリーの造花です。

彼岸花ってネット上で呼ばれてましたが)

 

結局、

コスプレイヤーさんたちがハンドメイドで彼岸花を造っていたので、

そのアイデアをお借りして、皆で造りました(泣)。

そして、珍しいのでそれが売れました!(爆)

 

ちなみに、おかげ横丁の和紙のお店「神路屋」さんの二階に

季節の花のポストカードがあるのですが、

そこには彼岸花ネリネリリーの両方がありました。

興味のある方はチェックしてみてくださいね!

 

この季節にお伊勢参りや125社巡りをする際には

田んぼに咲く彼岸花探しもしてみてはいかがでしょう?

【季節の花】 彼岸花のビュープレイスIN伊勢④

伊勢の彼岸花の見所をご紹介してきましたが、

ここはまさに絶景!

彼岸花御花畑のようです。

 

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いえ、もうここは彼岸花の海といっても過言ではないかも!??

 

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ここはどこかと言いますと、朝熊山の麓です。

鳥羽松阪線を注意深くドライブしていただくと

見つけることが出来るかな?

と思います。

 

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車を停めてお散歩してみると、

こんな場所に出ることが出来ます。

 

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岸花と御地蔵様…

こんな光景も見られます。

 

赤い色がおそろいのようで、なんだかほっこりしますね。

 

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仏様も彼岸花の美しさを堪能しているような表情に見えてしまいます。

 

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日本の美しさを再発見!

でぃすかばーじゃぱん!

と言いたくなりました。

 

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彼岸花が両脇に咲く…まさに花道!

レッドカーペットを歩くより贅沢な気分ではないでしょうか?

 

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友人が通勤途中に見つけたヒミツのビュースポットなのですが

こっそりご紹介しちゃいました。

 

詳しい場所はどうぞ宝探し気分で探索してみてくださいませ♪

 

【季節の花】 彼岸花のビュープレイスIN伊勢③

今日の彼岸花のオススメスポットは

①でご紹介しました勾玉池から徒歩2分ほどのところにあります。

 

ここは白い彼岸花が群生しているビュースポットです。

 

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勾玉池(茜社)を出て、右手方向に進みます。

(外宮の火除け橋と逆の方向です)

 

少し行きますと、「宮崎の御花畑」と書かれた、

市民の皆さんの御手入れをする御花畑があり、

交差点があります。

交差点を渡ると、旧宮崎文庫の門が見えますが、

交差点を渡らずに、境内を囲う石垣を右手にして進んでください。

 

125社の度会大国玉比売神社のある方向です。

 

↓ご参考までに…。

【伊勢の寺社】 茜社・豐川茜稻荷神社 (伊勢市豊川町) - 伊勢河崎ときどき古民家

【125社めぐり】 外宮 摂社 度会大国玉比賣神社 - 伊勢河崎ときどき古民家

 

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その石垣沿いに、白い彼岸花が群生しているんです。

ちょうど交差点からすぐです。

車が多いところなので、くれぐれもご注意を!!!

(伊勢はけっこう運転が荒いんですよ~)

 

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少し進むと赤い彼岸花も咲いて

コントラストが美しいです。

 

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白い彼岸花は、赤い彼岸花の色が偶然に薄まったものではなく、別の種類の花だそうです。

あまり見かけませんが黄色い彼岸花(鐘道水仙という名)というのもあって、

その黄色と赤の勾配種のようで、元々は九州で多く見かけられたもののようです。

 

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白い彼岸花花言葉は…

「また会う日を楽しみに」「思うはあなた一人」

これは、お墓に眠る亡くなった人に対しいつまでも思い続けていますよ、

また会いましょうねとの意味があるといい、

また、「白」い花は一般に純粋、ピュア、純心を表しますね。

 

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赤と白、二種類の彼岸花が石垣に見られるビューポントなので

写真撮影にもオススメですが、

うっかり車に接触しないようにくれぐれもお気をつけくださいね!!!

【季節の花】 彼岸花のビュープレイスIN伊勢②

私の個人的セレクトによる、

彼岸花の名所IN伊勢

2箇所目はこちらです。

 

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神宮125社のうち3座の摂末社の鎮座する

上社の境内です。

 

*詳しくはこちらを…↓

【125社めぐり】 外宮 摂社・志等美神社 / 摂社・大河内神社 / 末社・ 打懸神社 【伊勢の寺社】 上社 - 伊勢河崎ときどき古民家

 

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上社のそばには、久瑠山威勝寺跡もあるのですが

そちらとの境にも咲いています。

 

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境内のまわりを囲う石垣の上に多く見られるので、

境内の木々とのコントラクトや石垣を入れての遠景など

色々なアングルで楽しめるので

写真がお好きな方は腕の奮い甲斐があると思います。

 

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お寺や神社に咲く彼岸花はやはり風情がまた違いますよね。

きらりとセンスの光る写真が撮れそうな風情です。

 

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彼岸花花言葉のひとつに「転生」があります。

彼岸花には毒性があることから、

「摘むと死人がでる」とか「火事になる」とか不吉な謂れがありますが、

「転生」とはまた意味深ですよね。

 

多分、彼岸花という名前と咲く時期(御彼岸前後)からと

花の時期と葉の時期が大きく異なることからの連想だと思うのですが、

寺社で見ますとこの言葉が違った響きをもって感じます。

 

この時期の上社はいつもとは違った妖艶さが漂うような…?

 

【季節の花】 彼岸花のビュープレイスIN伊勢①

10月の足音が聞こえつつありますが、

この季節に目を楽しませてくれる花のひとつが彼岸花ですよね。

 

別名マンジュシャゲ

音の響きもいいですが、字面がまたいいですよね。

曼殊沙華。

 

彼岸花には別名が1000あるとも言われいます。

例えば、彼岸=死人のいるところ繋がりで

死人花地獄花、幽霊花、など。

 

また地方によっても呼ばれ方が独特な花でもあります。


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今週は伊勢での彼岸花の名所(と個人的に思ってる)場所をいくつかご紹介したいと思います♪

 

まず今日は、ここ、勾玉池です。

 

言わずとも知れた伊勢神宮・外宮にある池です。

が、

この池の周りを散策するには一度、本宮などのあるエリアから出なければなりません。

火除け橋&鳥居を背に、右手方向に境内沿いに歩きます。

茜社」という看板が見えましたらそこから再び外宮境内に入ります。

正面には茜社&豊川稲荷の鳥居がありますが、その手前、左手の道に入ってください。

するとそこが勾玉池なのです。

 

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池に映った秋空の色、

まわりの濃い緑、

そこに鮮やかな赤い花がよく映えます。

 

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自然のものなので、開花の数には例年ばらつきがあり、

昨年は少し少なかった印象ですが、

一昨年はけっこうな数が咲いていました。

(写真は去年です。(最後の1枚のみ一昨年撮影(加工してますが))

 

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彼岸花には赤以外のものもありますが、

ここに咲くのは赤ばかりです。

 

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彼岸花にはキツネに因んだ別名も多いですよね。

狐の花火、狐のかんざし、狐の扇、狐のたいまつ、狐のロウソク、狐のタバコ、狐の嫁籠(よめご)、など。

ここ、豊川稲荷のそばにはぴったりですね。

豊川稲荷のおキツネさんも毎年彼岸花の開花を楽しみにしているかもしれません♪

 

 

 *ご参考にしてくださいませ。

【伊勢の寺社】 茜社・豐川茜稻荷神社 (伊勢市豊川町) - 伊勢河崎ときどき古民家

【熊野詣】おまけ・西国三十三所巡礼

西国三十三所と掲げられた寺院を見かけたり聞いたりしたことがある方も多いと思います。

近畿2府4県と岐阜県に点在する33か所の観音信仰の霊場の総称とされていて、

これらの霊場を札所とした巡礼を西国三十三所巡礼と呼び、

日本で最も歴史がある巡礼行であり、現在も多くの参拝者が訪れています。

四国の御遍路さんに近いイメージでOKです。

 

この西国三十三所の巡礼の第一番を飾るのが、熊野三山那智大社なのです。

正しくは、那智大社に隣接する青岸渡寺ですが、

神仏習合の時代には那智大社の一部であった寺院です。

 

那智大社那智の滝を崇める自然信仰の霊地として、

神道の確立、仏教の伝来前から確立していたとは思いますが、

伝承では仁徳天皇の時代(4世紀)に、

天竺から渡来した裸形上人

那智滝の滝壺で得た金製の如意輪観音菩薩を本尊として開基したとされます。

 

6世紀末 - 7世紀初に生仏聖が

胎内に如意輪観音菩薩を納めた本尊を安置する如意輪堂を建立します。

そのお堂が中世以降、

那智執行に代表される社家や

那智一山の造営・修造を担う本願などの拠点ともなります。

 

中世から近世にかけて熊野那智大社と一体化し、

那智山熊野権現那智権現と呼ばれ、

全体で7寺36坊もの坊舎を有する神仏習合修験道場でした。

 

明治に神仏習合の廃止を経て、

熊野那智大社から天台宗の寺院として独立し、

新たに「青岸渡寺」と名付けられて復興したといいます。

この寺号は、信長に焼き討ちされた際に再建した秀吉に因み、

秀吉が大政所の菩提を弔うために建てた高野山の青巌寺に由来すると言われています。

 

では、そもそもなぜ三十三所の一番に配されたのでしょう?

 

養老2年(718年)、

大和国長谷寺の開基である徳道上人が冥土の入口で閻魔大王に会い、

「地獄へ送られる者があまりにも多いから、

 日本にある三十三箇所の観音霊場を巡って滅罪の功徳を得て、

 その巡礼によって人々を救いなさい」

という託宣と起請文と三十三の宝印を授かり現世に戻されます。

そしてこの宝印に従って定めた霊場を三十三所としました。

ですが、世間に普及しないままこの世を去ります。

 

その約270年後、花山院が紀州国の那智山で参籠していた折、

熊野権現が姿を現し、三十三の観音霊場を再興するように託宣を授けます。

このとき先達を務めた仏眼が巡礼方式を定め、

花山院が各寺院の御詠歌を作ったといい、

現在の三十三所巡礼がここに定められたと言われます。

 

なるほど、それで那智を起点とするのですね。

花山法皇那智に三年間も参篭したとも伝わります。

 

また、青岸渡寺平安時代以前から皇族に縁があったようで、

推古天皇勅願寺となっていたともいわれます。

 

では、二番目の札所はどこでしょう?

これも紀伊国紀三井山 金剛宝寺です。

第三番の粉河までが紀伊国にあります。

そしてこの1→2→3のルートは、熊野詣を逆に進むルートにあたります。

この三十三所巡礼のルートは、16世紀に確立したと言われています。

つまり、この頃には修験者だけではなく庶民も三十三所巡礼が流行していたと考えられます。

 

庶民が三十三所を巡るようになったのは15世紀頃と考えられていて、

これは熊野詣が「蟻の熊野参り」と言われるほどに流行したのと同時期です。

16世紀に入ると熊野詣が衰退しますが、

これは三十三所巡礼の一部に熊野詣が吸収されたからである、

という見方もあります。

熊野比丘尼の活躍もあり、

 伊勢神宮が盛り返してお伊勢参りが隆盛し出しためでもありますが。)

 

熊野詣を語る上では、この三十三所巡礼が外せないな…

思ったのはこの理由からです。

そして、熊野と伊勢とは端々で繋がりが濃いのも個人的には興味深いポイントです。

 

三十三所をきっかけに蘇りを果たした徳道上人、

花山院の活躍で蘇った三十三所、

熊野比丘尼の活躍で蘇った伊勢神宮…、

やはり熊野は蘇りの土地なのかもしれません。

 

最後に余談をひとつ…。

「三十三」とは観世音菩薩が衆生を救うとき33の姿に変化するという信仰に由来し、

その功徳に与るために三十三の霊場を巡拝することを意味し、

西国三十三所観音菩薩を巡礼参拝すると、現世で犯したあらゆる罪業が消滅し、極楽往生できるとされる

と言われています。

「33」とは西洋でも「天使や精霊、神の御加護があるときに表れる数字」とされています。

そして、中国では3本足の動物は幸福をもたらすことが多く、ヤタガラスのモデルもそこに因みます。

熊野には「3」の魔法がかけられているようにも思われますね。

 

*西国33所巡りがしてみたくなった方、

 他の寺社が知りたくなった方、

 詳しくはこちらをご覧ください

    西国三十三所 巡礼の旅