伊勢河崎ときどき古民家

伊勢と河崎の町と神社と古民家と好きなものに囲まれた日々のコラムです

【読書感想】「これであなたも歴史探偵!歴史資料調査入門」風煤社

この本を一文で言い表すとしたら…

歴史好きが歴史マニアにステップアップするためのバイブル

編者であり著者の一人である友人千枝先生が「マニアック」との某書評に頭を抱えておられたのだが、それは褒め言葉であると私は思った。
そして、いざ拝読してみて同じ感に至った。

 

「なるほど、コレはマニアックだ!」


1ページ目をめくるなりそう唸らずにはいられなかった。
新聞のコラム調に配分されたレイアウトに、新聞のコラム調に進む話題。

これは、「ちょっと歴史に興味があるんです」というライト層に向けての、ライトな歴史入門ではない。
「歴史好きで、時々史跡や神社仏閣を巡るけど、もっと歴史を感じるにはどうすれば良いのか」と、歴史の沼にはまりたい層への導入書である。

 

その沼へのハマり方を「私はこうして沼に入ってしまっています」という水先案内の玄人たちが、自らの経験を披露してくれている。

例えば、古書。
例えば、町歩き。
例えば、絵葉書。
そのきっかけは身近にもあるもの。

 

私は元々洋骨董を仕事にしていて、絵葉書も欧州…主に英国で買い付けている。
その時には、消印、切手、印刷の技術、洋服の流行りなどから年代を特定するのだが、それとほぼ同じ手順がもっとプロ目線で細かく丁寧に紹介されている。
日本の郵便は英国を手本にしているので同じ方法で良いのだと改めて気付かさせられる。

 

また、身近になったスマートフォンでの撮影を通しての石碑などすり減った文字の解読の仕方なども興味深い。
自分もスマートフォンアプリを用いて時々行ってはいたが、プロはそれを「ひかり拓本」という技に昇華している。

 

身近なことをプロ中のプロが手取り足取り、更に深みへと誘ってくれる…そんな一冊なのだ。

 

初めての水泳教室で、手を引いてもらい水に浮かび、新たな世界に踏み入れるような…未知の大海原への第一歩となるわくわくと少しのドキドキがないまぜになった気分が味わえよう。

 

最近は、歴史町歩きツアーや、くずし文字の読み方講座などもあり、タイムマシンに乗る気分を味わいたい層が増えていると感じる。
まずはその初めの一歩としてオススメしたい一冊であることは間違いないと思う。
 
個人的には、仲良くしていただいている友人知人が複数名寄稿しているので、そこも楽しめた一冊。
全部に触れたいところではあるけれど…そこは皆様に手に取って実際に読んで感じて欲しい。

 

「週末、歴史探偵はじめました」という方がこの本から増えていると予想中…。