伊勢河崎ときどき古民家

伊勢と河崎の町と神社と古民家と好きなものに囲まれた日々のコラムです

【伊勢の寺社】 宇治神社 (伊勢市宇治在家町)

 

内宮のすぐ近くに建つものの、

知る人ぞ知る…といった神社です。

 

内宮のローターリーから出る県道を

宇治橋を背に左手へ、

五十鈴川に沿って坂を上ります。

 

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奉納旗がおびただしく翻るここ、宇治神社

「足神様」とも呼ばれ、地元に愛される氏神様のひとつです。

 

陸上選手やサッカー選手によく知られているそうで、

ここに案内してくれた友人のK君もサッカー青年です。

 

伊勢の誇る金メダリスト・野口みずきさんが

アテネオリンピック前に参拝し、

わらじを奉納したことで脚光を浴びた神社でもあるそうです。

社務所には、そのわらじが飾られています)

 

余談ですが、

伊勢で行われるマラソン大会

「お伊勢さんマラソン」の二つ名は「野口みずき杯」。

河崎を流れる勢田川を渡る船の名は「みずき」です。

 

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「足神さんとして祀られているのは、

 宇麻志阿斯訶備比古遅神ウマシアシカビヒコヂノカミ)で、

 古事記では、天地が初めて開けた時に

 四番目に お生まれになった神様とされています。

 生き生きとした生命力を授け、

 細胞の働きを活性化させ、

 病気を癒して下さいます。

 また、微生物のはたらき、菌類の発酵をも促されます。
 崇敬者には、「足神さん」と呼ばれ親しまれ、

 病気の平癒の祈願、お礼にわらじを奉納する習わしがあります。」

と、宇治神社のHPには記載されています。

 

細胞の活性化!

何だか腸内細菌が生き生きをしてきそうなイメージです(笑)。

 

足の病気、痛みがよくなるように…という

撫ぜ石」も境内にあります(写真↓)。

 

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この足神様の謂れとしては

『神宮略典』に記載があるそうで、

宇治神社は、皇大神宮末社葦立弖社(アシタテシャ)に擬し、

一説には宝暦年間(1751~1764年)磯部街道笹原茶屋の亭主が、

老狐が足を傷して治療に手を尽くしたが、

その効無く悶死したが、

亭主はこれを厚く葬り山神に祖霊と祀り崇敬したといわれます。

足の疲労平癒を祈れば必ず加護ありと遠来より祈る方が多くなり、

草鞋や絵馬、幟を献ずる方が多くなりました。」

と御由緒書きにあります。

 

本殿のそばのお稲荷さんに関連が?
と思いましたが、

こちらは「蓬莱稲荷神社」といい、


「元来は今在家町丸山にあったもの

(1684年~1688年 林崎文庫設立時は、稲荷神社があった)を、

 天明2年(1782年)修築時に移されたものであります
 内宮権禰宜で副物忌父職(そえものいみのちち)を兼帯したことから、

蓬莱家の社であったと思われます。」

 

とHPにありましたので、無関係でした。

 

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そもそもこちらの神社は、合祀された神様の数が非常に多く、

25柱もの神々が祀られています。

例の明治41年の合祀大会(仮)の時に合祀されたそうです。

 

主祭神は「大山祇神」です。

その他の神々は以下のようになっています。

(右は合祀された社の名です)

 

宇麻志阿斯訶備比古遅神(ウマシアシカビヒコジノカミ)足神社 
宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ) 稲荷社 佐野姫神
玉移良比賣神(タマイラヒメノカミ) 瀧倉神社
御裳須曽姫神(ミモスソヒメノカミ) 求神社
豊玉比賣神トヨタマヒメノカミ)  
素戔嗚尊スサノオノミコト)    蘭神社 
天兒屋根命アメノコヤネノミコト)  崇忠神社
速秋津日子神ハヤアキツヒコノカミ) 水神社
速秋津比女神ハヤアキツヒメノカミ) 水神社
新川比賣神(ニイカワヒメノカミ)   鏡石神社
火産霊神ホムスビノカミ)      秋葉社
水波賣神(ミズハノメノカミ)     水神社
応神天皇(オウジンテンノウ)     八幡社
天見通命(アメノミトオシノミコト)  荒木田一門神社
大職冠鎌足神霊(タイショクカンカマタリシンレイ)崇忠神社 
和気清麿神霊(ワケノキヨマロシンレイ)  崇忠神社 
菅原道真神霊(スガワラノミチザネシンレイ)崇忠神社 境内社弓場菅原社
楠正成神霊クスノキマサシゲシンレイ)  崇忠神社
彌武彦神(ヤタケヒコノカミ)   荒木田一門神社
羽倉東麿神霊(ハクラアズママロシンレイ)  
岡部真淵神霊(オカベマブチシンレイ)    
本居宣長神霊(モトオリノリナガシンレイ)  
平田篤胤神霊(ヒラタアツタネシンレイ)

 

他、祭神不明ながらも「石津賀神社」も合祀されているそうです。

石塚の名から、磐座を祀っていたのかと推測してしまいます。

 

羽倉東麿、岡部真淵、本居宣長平田篤胤は伊勢界隈に縁の人の霊、ですね。

後世にみずきさんもここに名を連ねそうな予感がするほどです。

 

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宇治神社の創設には2説あるといい、

ひとつは、内宮の末社・那自売神社の跡地に産土の神を祀ったというもの。

(伊勢の産土の神社でよくあるパターンですね。)

 

もうひとつは、万治3年(1660年)の大洪水のときに

神路山にあった小祠がここに漂着したというもの。

 

どちらも有りそうなお話ですよね。

 

創始はこのようにミステリアスではありますが、

「中世より鳥居前町として栄えた館(たち)・

今在家(いまざいけ)・中之切(なかのきり)・

浦田(うらた)の四ヶ町と、

これらの町で暮らし、働き、縁ある人々を、日々お守り下さる産土神(うぶすなのかみ」

とHPではおっしゃっています。

 

おはらい町でも少々商売をさせていただいていたので、もっと早く参拝すべきでした。

 

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本来は産土神でありながら、

合祀した足神さんが一世風靡してしまっている感は否めませんが、

それはやはり足を持つ生き物として、

健脚であることは健康の要であるからではないでしょうか?

 

二足歩行になって人間は足や腰に負担をかけざるを得ない体型であるという話もありますので、

内宮に御参拝の折には、沢山足を動かして

こちらにも御参拝してみてはいかがでしょうか?

 

本殿では、伊勢の地に詣でた感謝を伝えたいですね。

私もいつも今は遥拝ながらも…

「賑やかな内宮の鳥居前町で楽しませていただきありがとうございます。」

 

三重県伊勢市 宇治神社 足神さん | 三重県伊勢市宇治神社(足神さん)のホームページです。

 


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