神宮に見る方位除け~四至神 / 【125社めぐり】 所管社 四至神
前回「伊勢飾り」は陰陽道をつかって方位除けの護符も兼ねていたのでは?
と推察してみました。
では、神宮ではどのような方位除けがなされているのか?
今日はお話したいと思います。
伊勢神宮内宮を歩いていても、外宮を歩いていても
「石に囲まれた何かが多いな」と思われたことはありませんか?
ですが、その「何か」はそれぞれ何なのか?特に説明もない場所が多いと思います。
「けど、皆さん手を合わされているし、自分もとりあえず祈ってみよう」と思われる方も多いのでは?
そんな場所のひとつ。
「四至神(みやのめぐりのかみ)」と言います。
「宮廻神」とも表されます。宮(神宮)をぐるりと廻る神。
この神様が神宮の四方位を護る役割を担っています。
外宮ですとこちら。
五丈殿と九丈殿の前に鎮座しています。
神楽殿から正殿に歩くと必ず目にすると思います。
古くは「宮廻神200余座」と記述があり、中世には「四至の神44座」、
近世には「廻神16座」と称されていました。
神宮内、特に外宮内には摂末社の遥拝所などがいくつもあり、
その多くが石積みの形で築かれたため、四至神との見分けがつかなくなっていったそうです。
そこで明治四年に、外宮・内宮ともに現在の位置に祭壇をまとめたそうです。
外宮の場合、石ではなく榊が依り代(御神体)です。
ちなみにこちらは、内宮にあります外宮の遥拝所です。
う~ん。これは口伝では間違いも起こりそうですよね。
四至神には他にも逸話があります。
自らの隆盛を祈願したい武士たちが神宮を護衛するために家臣を送り、
四方から守護したので「四至」と呼ばれ、その功績を神格化したのが「四至神」というものです。
神宮は私幣禁止ですので、直接祈願したのではなく神宮の力を取り込もうとしたのかもしれませんが、
朝廷を護る「北面の武士」のようなものがいたのでしょう。
どのみち、神宮を四方位から守護している神様、ということに間違いはありませんので、
御参拝の折には手を合わせて「神宮を守護下さってあいがとうございます」と申し上げるのが良いかと思います。
戦時中に神宮はアメリカ軍が爆撃をしなかったと言われていますが、実は爆撃されているんです。
外宮の五丈殿辺りにも爆弾がいくつか落とされ、屋根に穴が開いたそうです。
ですが不思議なことに1つも爆発炎上しなかったとのこと。
これは四至神が護ってくれたのではないでしょうか?
やはり「これからも神宮を護ってください」とお願い申し上げたいです。
とある友人は神宮を案内する時に四至神を
「神宮のセコム」と呼んでいます(笑)。
確かに現在に於いてはこれが一番フィットした表現かもしれませんね。