伊勢河崎ときどき古民家

伊勢と河崎の町と神社と古民家と好きなものに囲まれた日々のコラムです

【古市街道】 自転車走破の道程⑧ ~ついにゴール!牛谷坂~

大きな常夜灯(↓地図の富樫公園)を経て

(常夜灯を奉納した富樫文治さんに因むのかと?)

古市街道を進むと、急坂に出会います。

下りなので爽快ですが(ブレーキかけないと怖いくらいですが)

上りだと壮絶です。

 

この常夜灯から、坂の下の惣門跡までを

「牛谷坂」と呼ぶそうです。

 

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この坂は、まず延宝2年(1674)、

内宮長官の藤波氏富が私財を投じて改修し、
内宮への近道として参拝客が利用するようになりますが、

今のようなまっすぐな坂道ではなかったといいます。


元禄10年(1697)山田奉行の命で再度改修工事が行われ、

文化2年(1805)古市の妓楼、千束屋の主人里登(りと。当時65歳)が

千両余りを投げ出して本格的な改修工事を行ったそうです。

 

これが現在の牛谷坂で、

りとはこの功績により苗字帯刀を許され、

以後山田里登と名乗り、

文政11年(1828)88歳でこの世を去ったといいます。

伊勢志摩きらり千選

 

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この「牛谷」という名は

この付近に「牛鬼」という妖怪がいたという牛鬼伝説に由来するそうです。

 

牛鬼伝説とは…

 

中村の里にいた内宮禰宜、園田将監は、

畑を荒らし回る鹿や猪から野菜や麦を守ろうと

下男を見張番に出しました。

その下男が就寝中のこと、

突然枕をひっくり返されて驚き目を覚ますと

「ヘビ女」が立っています。

ヘビ女は「近くの牛鬼に夫と子供を食われたので、

どうか退治してほしい」と頼みました。

それを聞いた将監は見事に牛鬼を退治しましたとさ。


 …というお話だそうです。

 

牛鬼がどんな鬼だったのかはわかりませんが、

ヘビ女が出てくるのも興味深いです。

(神宮と関係が深いと私が思い込んでるのが

 奈良の石上神社と大神神社なのですが、

 大神神社もヘビの伝説が有名ですよね)

 

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牛谷坂を下り、五十鈴川の支流を渡る小さな橋のそばに

「宇治惣門跡」の石碑が立ちます。

 

碑文には

「旧参宮街道の牛谷坂と宇治岳道の町並みとの間に設けられ俗に黒門と

 呼ばれ明治維新までここに番屋があった。」

と刻まれています。

 

惣門というと、街道の関所のような感じだったのかと想像します。

(参考→出雲街道 土居宿 西惣門/美作市ホームページ

 

 

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この石碑のそばには、古市の案内板もあります。

 

…が、実は私、どちらも見落としておりまして…

上載の写真3枚はまたgoogleストリートビューで拝借しました。

 

さぁ、この坂を下りきって左手に曲がると、

猿田彦神社です。

 

実はこの牛谷坂の後半部分は

猿田彦神社の敷地を突っ切るかたちになっています。

 

気をつけて見ていると、右手に「猿田彦境内」などの石柱もあるようです。

ちはやふる 神代の国より 伊勢の参宮街道6 牛谷坂

 

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ついに、この旅のゴール!!!

猿田彦神社さんに到着です!

この先は内宮へと…なっています。

 

古市の旅、いかがでしたでしょうか?

古市街道は、正直コアな歴史ファン向けのコースだと思います。

初めて伊勢に来た方よりもお伊勢参りフリークの方にオススメしたいコースです。

 

遊郭や町並みは戦火で消失し、現在は住宅地になっていて古民家もまばらです。

ですが、麻吉旅館さんや長峯神社常夜灯など

華やかかりし頃の古市を伝える建築物がまだ残り、

往時を偲び、ロマンを感じることができます。

 

そうそう、古市が隆盛で河崎もまた大繁盛だった頃には

河崎の旦那衆も古市で豪遊(?)していた…という逸話も耳にしたことがあります。

 

「この辺りに遊郭があったのかぁ」

「この道を昔は歩いて参拝したんだなぁ」と

歴史にひたってみるのもオツかな?と思います。

 

ただし、自転車は電動がオススメですよ!!!

 

 

*古市の歴史については

 当ブログを書くにあたり様々なサイト様を参考にさせていただきました。

 引用はその都度リンクを貼っていますが、

 もっと古市知りたい方にはこちらのサイトもオススメです。

古市の歴史

 

*常夜灯の成立念が不明と⑦で述べましたが、

 明治4年のようです。

 富樫さんの奉納年と合致しないので、

 他の常夜灯かもしれませんが…。

 (40年前まであったとされるもう1ペアでしょうか?)

常夜灯の仮説