河崎の古民家の造り
「古民家」と一括りで呼びましても、
日本の古民家にはそれぞれの土地柄に合わせたそれぞれ独特の造りがありますよね。
古民家好きとしましては、それを見て歩くのも旅の醍醐味です。
今回は河崎独特の古民家の造りについて
旧「いと志や」ことN邸を例に簡単にご説明したいと思います。
伊勢の古民家について、以前図書館で見つけた資料(史料と呼んでも良いレベルです)に
宇治、河崎、二見の古民家について詳しく述べたものがありました。
私は古民家好きですが建築家ではないので、ほぼ同一に見えるのですが
やはり町の造り上違って来るのですよね。
河崎の古民家は所謂「うなぎの寝床」スタイルで間口が狭く奥に広い物が多いです。
(特に現在「河崎本通り」と仮称している道沿いはほぼこの形状。)
N邸もこの通り。
みにょ~~~んと長いです。初めてのお客様によく驚かれる程に。
以前も記しましたが、川に面することが重要なのでこのスタイルなのだとも思いますが
それにしても長いですよね
うなぎの寝床である所以は「狭い敷地に多くの商店を建てるため」とも言われていますが
やはり「間口税」が関連しているのでは?と思います。
なぜなら間口の大きい大店も河崎には多数存在するのです。
昔は間口の広さで税金を徴収したというのは、東京でも聞いたことがあります。
町の生き字引のお一人も「間口税のため」と以前仰ってました。
(この件に関してはこちらの先生の考察がお詳しいです。
本題に戻しましょう。
N邸は明治35年に建てられた問屋兼小売店です。
内装のお話はまた後日にしまして、今日は外見の造りのお話をします。
河崎の古くからの民家の造りは以下のようになっています。
(*1階の正面は昭和~平成にリフォームしています)
伊勢は雨が多く風も強いので、張り出しなどが建物を守る造りになっています。
外壁は「外囲い」と呼ばれ、やはり風雨から守るために杉を黒く染め、横向きに重ねる鎧囲いになっています。
この黒い外装が河崎の古民家の渋さで、私は大好きです。
出格子や鬼瓦などの装飾からは、河崎商人の豊かさとオシャレさが見てとれます。
N邸の2階の出格子に、このすりガラスの窓…たまらない素敵さです。
軒がんぎを下から見上げますとこのような感じ。
N邸は雨どいを変えて外れていた板を張ったりと
大家さんが職人さんに頼んで小まめにお手入れをしてくれるので
今もこの素敵な姿を保つことが出来ています。感謝です。
さて、この素晴らしい屋根は「星出館」さんのものなのですが
N邸との大きな違いがあります。
おわかりになりますか?
答え。
N邸の屋根はふくらんでいて、星出館さんの屋根は反っているんです。
こちらはN邸のお隣のお隣さんと「あじっこ」さんです。
反り屋根、膨らみ屋根、おわかりになりますか?
これは、河崎の生き字引・和具屋さんに教えていただいたのですが
河崎(伊勢地方)の屋根はこのように反り型と膨らみ型が交互になっているのです。
「そり」「むくり」と言うそうです。
残念ながら河崎でこの連なりが確認出きるところは少なくなってはいるのですが、
河崎散策の時には屋根も見上げてみてくださいね。
「あ、ここは反り屋根だ」と見ながら歩くのもまた一興です。
追記;
伊勢の屋根のタイプには「そり」と「むくり」に加え「すぐ」(真っ直ぐ)もあるそうです!
考察不足でした~。
カメラ片手に散策&考察してまた後日記事にしたいです。
(Tさん御指摘ありがとうございました♪)