伊勢河崎ときどき古民家

伊勢と河崎の町と神社と古民家と好きなものに囲まれた日々のコラムです

洪水と人柱のお話~松井孫右ェ門と宮川

花の季節にはお花見で賑わうことでも有名な宮川堤。

そこに「松井孫右ェ門社」という神社があります。

観光参拝する人はいない地元の神社ですが、

伊勢の人々に知らない人いないのでは?という場所です。

 

江戸時代、神宮参拝にはこの宮川を渡るのが鉄板ルートでしたが、

宮川はしばしば氾濫し、民家や田畑を流したそうです。

 

寛永10年、

山田の中島町字中野に住む松井孫右ェ門は、

毎年の大雨による氾濫を見るに見かねて

自ら人柱となって自らを捧げたそうです。

 

その孫右衛門さんを祀ったのが松井孫右ェ門社です。

 

松井孫右ェ門社 伊勢志摩きらり千選

 

このお話は、伊勢で育つと小学校で習ったりするそうで、

知人も「小学生の頃調べさせられたからよく覚えてる!」と言っていました。

 

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洪水で人柱…といいますと、

三国志諸葛亮が人の代わりに饅頭を川に投げ入れた話や、

テルテル坊主の話など、

実は怖い…てるてる坊主の由来 

中国でも逸話が多いですよね。

 

ヤマタノオロチ退治の話も、娘を捧げて洪水を防いでいた逸話の体系だと思います。

蛇は洪水や大水を示唆する言葉です。

(例:蛇口=水が出る口、ですよね)

 

ですので、蛇に関係がある地名は「ここ洪水するよ」という

先人からのメッセージでもあります。

(だから、○○ヶ丘とかに改名したら意味が無いんですよ~!)

 

古代から水は無くてはならないものである一方、

脅威をもたらすものであり、

その共存はやはり永遠のテーマなのだと思います。

 

ですから、リニアで水脈分断なんてもっての他だと思うのですよ。

静岡県さん、頑張ってくださいね!

(リニア不用主義者です)

 

ところで松井孫右衛門さんですが、お墓もあるそうで…。

同姓同名の別人か、御本人を偲んでのものかは謎ですが

「あの話、フィクションじゃないの?」とお墓を発見した知人が笑ってましたが…。

それならその方がいいですよね。

人の命を捧げる=洪水で飲まれる人の代表を立てる、なんて

やはりどちらも悲しいですから…。