伊勢河崎ときどき古民家

伊勢と河崎の町と神社と古民家と好きなものに囲まれた日々のコラムです

【神宮の神事・番外編】大嘗祭・新嘗祭とは?

昨日は伊勢神宮の神事である神嘗祭についてざっくりとですがお話ししました。

「かんなめのまつり」とは、「かむにえ」、神様が贄を食すお祭りでしたね。

 

では、よく似た神事である新嘗祭大嘗祭とは何でしょう?

 

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大嘗祭は昨年行われましたので、皆様ご記憶に新しいかと思います。

宮中に大嘗宮が建てられ、その見学も後日行われましたね。

 

ちょうどその頃に、私は伊勢から東京に戻りましたので、

もちろん見学に行きました。

今日はその写真を添えていきたいと思います。

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大嘗祭天皇陛下即位式のような位置づけにもとられていますが、

天皇が即位して最初の新嘗祭のことを言い、

古くは同一祭事の同義語とされていたと伝わります。

 

大嘗祭に関する宮内庁の資料にも、

 

 「7世紀中頃までは,一代に一度行われる大嘗祭

 毎年行われる新嘗祭との区 別はなかったが,

 第40代天武天皇の時(御在位673~686年)に,

 初め て,大嘗祭新嘗祭とが区別された。

 爾来,大嘗祭は一世に一度行われる極め て重要な皇位継承儀式とされ,

 歴代天皇は,即位後必ずそれを行われることが 皇室の伝統となった。」

 

とあります。

 

ここにも天武天皇

天武天皇は伊勢だけではなく、宮中祭事も整えたのですね。

 

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大嘗祭新嘗祭の大きな違いは、やはり大嘗宮が建てられることです。

新嘗祭は毎年行われる宮中祭事なので、逐一宮を建てることはなく、

宮中三殿の近くにある神嘉殿で行われます。

 

大嘗宮は、宮中の約90メートル四方、

約2,700平方メートルの敷地に建てられます。


悠紀殿(悠紀殿供饌の儀を行うための建物)

主基殿(主基殿供饌の儀を行うための建物)

廻 立 殿(大嘗宮の儀に先立ち天皇及び皇后が御潔斎や召替えをなさる建物)

 

を中心に,関連する建物や参列者幄舎など大小30余の建物が設営されます。

 

これらの建物は,床は筵又は畳表を敷き,

扉及び壁は畳表を張り,

柱は加工をしない皮つきの丸太を用いるなど,

伝統的に質素なものとされているそうです。

宮内庁資料より)

 

秋篠宮さまが費用面などご心配されていましたが、

伊勢の式年遷宮同様に、伝統を伝える意味でも

この宮を建てることには大きな意義があると私は思います。

 

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大嘗祭の細かな式次第についてなどは、

昨年あちこちでインフォメーションされてましたので

ここでは割愛させていただきますね。

宮の詳細や式次第などは、こちらの宮内庁資料がおすすめです。

https://www.kunaicho.go.jp/kunaicho/shiryo/tairei/pdf/shiryo011002-7.pdf

 

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では、新嘗祭とは何なのか?

それを見ていきたいと思います。

 

「新しい贄の祭り」

つまり、その年の豊穣を祝うお祭りです。

 

大嘗祭とは、

 「稲作農業を中心とした我が国の社会に古くから伝承されてきた

 収穫儀礼に根ざしたものであり,

 天皇が即位の後,初めて,大嘗宮において,

 新穀を皇祖(天照大神)及び天神地祇(すべての神々)にお供えになって,

 みずからもお召し上がりになり,

 皇祖及び天神地祇に対し,

 安寧と五穀豊穣などを感謝されるとともに,

 国家・国民のために安寧と五穀豊穣などを祈念される儀式である。
 それは,皇位の継承があったときは,

 必ず挙行すべきものとされ,皇室の長い伝統を受け継いだ,

 皇位継承に伴う一世に一度の重要な儀式である。」

と先述の宮内庁資料にありますが、

 

新嘗祭

 「稲作農業を中心とした我が国の社会に古くから伝承されてきた

  収穫儀礼に根ざしたものであり,

  新穀を皇祖(天照大神)及び天神地祇(すべての神々)にお供えになって,

  みずからもお召し上がりになり,

  皇祖及び天神地祇に対し,

  安寧と五穀豊穣などを感謝されるとともに,

  国家・国民のために安寧と五穀豊穣などを祈念される儀式である。」

というものです。

 

つまり、

 「天皇が即位の後,初めて,大嘗宮において」

ということ以外は大嘗祭新嘗祭も同じなのです。

 (と私は理解しています)

 

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つまりは、新嘗祭神嘗祭同様に収穫祭なのです。

日本の神道の長である天皇陛下が一年の収穫に感謝を捧げる儀式ですので、

日本全国の神社でも同日に新嘗祭を行うところが多いです。

もちろん伊勢神宮でも新嘗祭の大御が行われます。

 

「でも、自分は神道じゃないし、関係なくない?」

と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、大いに関係あるんですよ。

実は皆さんもこの日は収穫祭に参加しているんです、ある意味。

それはこの日が「勤労感謝の日」なんですよ。

 

勤労感謝の日

「勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」

祝日法に現在もあります。

もう、収穫祭そのものですよね。

 

そう、日本のハロウィンは11月23日なのです!

(*ハロウィンの起源は収穫祭+お盆のようなもの)

 

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ただ、新嘗祭には他の意義もあるという指摘が古くからあります。

それは、神道の長である天皇が神前で新穀を食すことにより

天照大神の霊威を身に受けて、それを更新する神事である、という説です。

 

私たちの測り知らないところで、天皇陛下は日々祈りを捧げ、

数々の神事を行われています。

これはかなり心身共にお疲れになられることと存じます。

そこで、そのための力を年に一回神様と同食&同寝することでチャージする日だというのがこの説です。

 

これもピンと来ない方が多いかもしれませんが、実は私たちもやっています。

それは、お正月です。

 

新しい歳の神様を迎えるために年末に大掃除(大祓)をして、

門松やお飾りというウェルカムボードを立て、

お節料理でおもてなしをしますよね。

この時のお箸は両方が研いである祝箸を使います。

このお箸こそが「片方は神様、片方は自分」がつかい、神様と同食することで

その歳のパワーをいただいているという古来の習慣なのです。

 

話が逸れましたが、

実は新嘗祭神道の思想は日本の隅々に生きていると

お伝えしたかった次第であります。

 

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でも、なぜ神嘗祭新嘗祭があるの?

といいますと、「神様バージョン」「宮中バージョン」の違い、

つまり「神様(天)の祭事」と「宮(地、国)の祭事」であるというような説明が多いです。

 

確たる立証はないのですが、私の知っている見聞から紐解きますと

 

まず、神様に収穫を感謝し、その年の初穂を最初に食べていただき(神嘗祭)、

そのあと国の民は新米を口にする。

全ての国民が新米を食べたのを確認してから天皇も収穫を感謝して神と同食し、

更に次の1年のために神様からパワーを頂戴する(新嘗祭)。

 

といった感じです。

 

そして、即位後初めての新嘗祭は、神様に自己紹介や今後の良好な関係性をお願いするために大きく行う(大嘗祭)、

のではないでしょうか?

(もしくは、神の力を宿すために行うともいえますね)

 

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↑さて、こちらはおまけ映像です♪

なんと!黄櫨染御袍を着たダッフィーです!!!

 

黄櫨染御袍は天皇陛下のみが着用できる禁色の袍衣で、

特に大事な行事でのみお召しになられます。

 

あまりのクォリティーに写真をお願いして撮らせていただいちゃいました♪

 

ちなみに、ダッフィー船長さんという方です♪

2019年12月5日のブログ記事一覧-ダッフィー船長航海記 / Captain Duffy

 

いやぁ、すごい方がいらっしゃる!!!
出会えてラッキーでした♪