【熊野詣】⑫水害と熊野本宮大社
私が熊野を訪れた日も雨模様でした。
熊野川も写真の通り、水かさの多い状態…。
伊勢に住んでみてわかったことは、
紀伊半島は本当に雨が多いです!
特にこの熊野周辺は雨が多く、台風の時などは伊勢以上に雨が多く降ります。
その土地事情を関東民は知らないので
三重県に大雨警報が出ると、心配のメールなど送ってくれるのですが、
これ、ほぼほぼ尾鷲~熊野方面なんですよね。
伊勢に住む前も、三重出身の方に
「津よ伊勢と尾鷲で全く違うから」とよくアドバイス(?)をいただいたのですが、
これは文化圏的なものだけでなく、気候風土も全く違うってことなんだなと、
住んでみてよくわかりました。
東京でいうなら、
23区の下町エリアと新宿以東の城南エリアと多摩エリアくらいの違いだと思っていたのですが。
下町エリアと多摩の山沿いエリア以上の気候の差があるかもしれません。
昨日の記事でも触れましたが、
大斎原に鎮座していた本宮大社は明治22年の大雨で流されててしまいます。
その原因のひとつに、明治の廃仏毀釈による鎮守の森の伐採が関係あるようだという話もあります。
これは、紀伊半島で植物や歴史を研究していた日本一の研究者でオタクでもある南方熊楠が指摘していたことでした。
神社の鎮守の森は、歴史を守るだけではなく生態系を守っているうえでも重要である、
故に廃仏毀釈や神社庁が新しく支持した神社の合併などで安易に森を伐してはいけない、
そう熊楠は訴えていました。
そして熊楠の危惧が現実となったのです。
またこれは、古代の森に手を掛けたことへの神々からの抗議…にも思われますよね。
それから100年以上が経ち、
現在も環境破壊が一因である地球温暖化により、地表の気温が上昇。
海面温度も上昇したことにより、台風が大型のまま日本に上陸しています。
平成23年には台風12号が猛威を奮い、この熊野も大被害を受けました。
↑の写真はそのときの熊野川の上昇水位を記録したものです。
河原からもかなりの高さですよね。
本宮大社は高台に今は立ちますので被害はなかったようですが、
那智への道が崩れ、長く不通になったりもしました。
これも地球環境を蔑ろにしている私たちへの神々からの注告ではないでしょうか?
実はまさしくこの平成23年に、初めて熊野へ行きたいと思っていました。
その矢先にこの災害…。
そして、初めて訪れた日にこの雨模様。
熊野の神様が伝えたいことがあるのでは?
と、ついつい勘繰りたくもなります。
地球に住むのは私たちだけではありません。
動植物も自然の一員です。
いえ、私たちがこの地球に住まわせてもらっているのです。
それなのに、地球規模で様々な災害が多く、その要因が人間であることが多いです。
オーストラリアの大火災でコアラやカンガルーなどの動物が沢山死んでしまったように、
水害でも私たちの気付かない命が沢山奪われています。
木を切ることは愚者のすること、といいます。
この紀伊半島―紀の国に木を植えたのはスサノオ命とも言われます。
木は土を守り、土は水を蓄えることができます。
自分の出来ることから、1日1つでもいいので
自然に優しいことをしていけば、
このような災害を防げるようになるのでは?
いえ、そうしていかなければいけない、とこの熊野川に立って感じました。