伊勢河崎ときどき古民家

伊勢と河崎の町と神社と古民家と好きなものに囲まれた日々のコラムです

【古市街道】 自転車走破の道程④ ~麻吉旅館~

長峯神社の少し先…

路地を右折したところにあるのが

「麻吉」です。

 

参宮客をもてなし、隆盛を極めた古市で

現在唯一その佇まいを残し、

現在も旅館として営業しています。

 

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、『古市街並図』(天明2(1782)年)や

十返舎一九の『東海道中膝栗毛』(文化3(1808)年)にも、

その名が見られることから、

創業200年以上と考えられています。

 

明治の初め頃、

伊勢音頭が踊られる舞台を備えた宇治山田町(当時)第一の料理店として繁昌し、

その後旅館に転じています。

三重県総合博物館 伊勢・古市麻吉

 

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麻吉さんの魅力は、昔の古市の面影を残す建物ですが、

その建ち方がドラマチックなんです!

 

段差のある場所に建っていて、階段沿いに建物が並ぶ造りになっています。

 

私はまだ宿泊したことがないのですが、

階上からはその屋根が連なる景色と

その先に伊勢の山々の姿を眺望することが出来るそうです。

 

瓦の屋根屋根の美しさが素晴らしいです。

古市麻吉旅館

↑こちらにその様子が…。

 

最上階の最も眺望のよい北東隅には、

24.5畳の広間「聚遠楼(しゅえんろう)」が配され

五十鈴川から朝熊山までもが見渡せていたそうです。

 

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階段の道は生活導線になっていて、

小学生が通学に使ったりもしているようです。

この、町に息づいている感が素晴らしいですよね。

 

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先立っても述べましたが、

古市の遊廓の中でも別格とされた、備前屋、杉本屋、油屋は今はありません。

その跡地には石碑が残るのみです。

戦火で焼け落てしまったことと、

明治期に古市丘陵を迂回する御幸道路が整備され、

古市が衰退したためです。

 

麻吉旅館は2005年に有形文化財になっています。

いつまでもこの佇まいを残して欲しい…と願わずにいられません。

 

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古民家好きとしては、麻吉さんに宿泊させていただき、

その中を是非とも探検させていただきたくて仕方ありません!!!

 

素晴らしい建物に後ろ髪を引かれつつ、

古市走破に戻ります!