【足を延ばして志摩】 天の岩戸(恵利原の水穴)
内宮を流れる五十鈴川の源流、
神路山の水を集める神路ダムのほど近く…
神路山の逢坂峠のふもとに「天の岩戸」があります。
初めて私が訪れたのは10数年前…。
志摩から伊勢に車で向かう道すがらに偶然見つけました。
案内板も少なく、早朝、森がまだうっそうと暗さを保つなかを
神秘的な場所に招かれるかのように、
びくびくと歩いたのを覚えています。
が、今は伊勢志摩サミット特需があったせいか
立派な看板も立ち、若干観光地のようになっています。
「天の岩戸」と呼ばれる場所は日本全国に何箇所もありますが、
伊勢界隈はここ恵利原の他に、
二見興玉神社、外宮境内の高倉山にも「天岩戸」があります。
「天の岩戸」とは、
スサノオの暴虐に心を痛めたアマテラスがお隠れになった洞窟のことです。
アマテラスが籠もってしまったので、日が失われた=日食であるという説や
(古代は日食は不吉なことと去れていました)、
これはアマテラスの死を示唆していて岩戸の先は黄泉の国であるという説、
などなど
諸説論じられるところでもあります。
この恵利原の天の岩戸は「恵利原の水穴」と呼ばれ、
環境省の名水百選にも選ばれているそうです。
周辺の地質は広い範囲が石灰岩で形成されたカルスト地形で、
石灰岩の露頭が見られ、
その涵養により降雨の変動も受けず常時石灰岩質を浸透していて、
恵利原地区にはこの洞窟を含め5つの洞窟が知られており、
三重県内でも大きな石灰洞穴群を作っているそうです。
天の岩戸は神社になっています。
ここまでの道のりはそんなに大変ではありませんが、
近辺の風穴などに行くには途中足場の悪いところもあるようなのでご注意を…。
鳥居をくぐり境内へ。
境内はこじんまりとしつつも静謐な雰囲気で、
山全体が瑞々しい空気なのですが、
境内は特にその感が強いです。
雨乞いも行われるのも納得の雰囲気。
かの御木本幸吉氏もこちらの崇敬者だったといいます。
この奥に「天の岩戸」はあります。
こちらです↓
ここにアマテラス大神がお隠れになったのですね。
そして、その洞窟から竹を伝って水を汲めるようになっています。
一昔前まではこういった湧き水はそのまま飲んでいたのですが、
最近は衛生面から煮沸をするように注意されることが多いです。
そして、洞窟から流れ出た水は、「禊瀧」へと流れ落ちます。
この瀧から更に神路川へ、
そして神路ダムへと水は流れ、
伊勢志摩に生活用水を与えてくれているのですね。
「水は天からもらい水だから大事にしないといけないよ」
という、昔の人の言葉を思い出しました。
美味しい水を授けてくださる神様と伊勢志摩の自然に感謝です。
こちらの山には、もうひとつ気になる場所があります。
「猿田彦の森」です。
【伊勢にご縁の神様】 猿田彦大神 (サルタヒコ) - 伊勢河崎ときどき古民家
このあたりがまさにその地だったようなのです!
確かに良い雰囲気の森ですもんね。
徒歩15分くらいで、道なき道を行くコースのようです。
まだ、そちらには伺えていないので、
また後日改めて…。
この写真を撮った昨年5月は躑躅が美しく華やかでしたが、
天の岩戸の道中には樹齢360年以上の一本桜のオオシマザクラ「岩戸桜」があり、
春には若葉を伴って純白の花が咲くといいます。
伊勢志摩の桜の名所としても頭に入れておきたいですね。