伊勢河崎ときどき古民家

伊勢と河崎の町と神社と古民家と好きなものに囲まれた日々のコラムです

【125社めぐり】 外宮 摂社 宇須乃野神社 ・ 末社 県神社

 

外宮 摂社 宇須乃野神社 (うすののじんじゃ)

御祭神 宇須乃女命 (うすのめのみこと)

 

同 末社 県神社 (あがたじんじゃ)

御祭神 縣神 (あがたのかみ)

 

所在地;三重県伊勢市御薗町高向南世古2653

 

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河崎の町から宮川方面へ。

高向の住宅地に鎮座します。

 

外宮の摂社末社へは、

河崎からはどこも自転車で走破出来るちょうど良い距離感です。

 

高向の町は河崎とはまた違った雰囲気です。

家々に掛かる注連縄…

気になります。

 

ここ宇須乃野神社の近くには

地元の氏神の高向大社があります。

(こちらでも御頭神事があります)

 

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境内へはキリっとした雰囲気です。

入口の木々はしっかりと剪定され

奥の社殿までしっかりと見渡せます。

 

「宇須乃野」は山田原を構成する原野の一つといわれ、

宇須乃野神社もこの原野と深い関係があると言われます。

 

延喜式』には同名で記載されますが、

『止由気宮儀式帳』には「高河原社」と記載されるといいます。

(疑問。高河原神社も「高河原社」と記載されているそうなのですが?)

 

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宇須乃野神社の御祭神・宇須乃女命

「五穀豊穣の神」とだけ

神宮会館HPに説明があります。

 

同座の県神社の縣神については説明は皆無。

どうやら、「あがた」=「上田」の神、

水田の守り神のようです。

 

公式に近い神宮会館HPに記述が少ないのは

それだけはっきりしていないからだと思われます。

 

この神社は理由は不明ですが、

江戸時代に復興される前に

過去数回に渡り大破したという記録が高向大社にあり、

その都度、高向大社に倣って建て直したというのです。

(高向大社も社殿が神明造です)

 

その際や、戦国時代に祭祀が中断した折に

神社についての詳細が神宮には掴めなくなっていたのかもしれませんね。

 

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宇須乃女命

『神名秘書』(鎌倉時代)には「五穀霊神」と記載されますが、

神名帳再考』(江戸時代)では「一名草野姫命」とあります。

草野姫命(かやのひめのみこと)・・・

清野井庭神社の御祭神です。

他の外宮摂末社にも見られたように、

江戸期には記録や伝承が混ざっていたように思われます。

 

高向大社に伝わる

『伊勢度会郡高向郷高向村高向神社記』では

御神霊二座宇賀能美多麻神宇賀能賣神是也。」

とあります。

 

ウガノミタマの神ウガノ女の神は

そもそも同神で(魂と体のような感じ)、

日本書紀』では倉稲魂命と表記され、

神宮では御倉神として祀られ、

摂末社でも祭神とされています。

(小俣神社、葭原神社)

 

外宮の豊受姫と同一視されることも多い神です。

そして穀物を司る神でもあります。

そこで、宇須乃女命とも同一視されたのかもかもしれません。

(名前も似てますし)

 

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この宇須乃野神社で特記したいのは、

この楠です。

 

樹齢1000年、幹の周りは7m80cm、樹高25メートル

と言われます。

 

境内を出て少し離れたところから見ますと、

いつもの摂社の森ではなく、

こんもりとこの楠がそびえているのが見られます。

社殿と境内を包み込むかのように…。

ああ、ここにもラピュタが…。

 

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宇須乃野神社も県神社も江戸時代―寛永3年の再興の際には所在地不明であったそうです。

もしかするとこの楠があったことからここに遷座されたとしてもおかしくありません。

 

宇須乃野神社・県神社も、そしてこの楠も

これからも健やかでありますように…

と、まさに弥栄を祈りたくなりました。

 

(2019.6.25.参拝)

 


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