【125社めぐり】 摂社 園相神社
内宮 摂社 園相神社 (そないじんじゃ)
御祭神 曽奈比比古命(そないひこのみこと)、御前神(みまえのかみ)
国道22号線沿いに建つ社です。
摂社末社を探す時のポイントは「こんもりとした森を目視で探すこと」なのですが、
ここはまるで木で出来た要塞のようになっていますのですぐにわかると思います。
外観写真を撮り忘れて後悔するくらい綺麗です。
(車も駐車しやすいです)
境内に入ると車通り沿いとは思えないひっそりとした空気空気で、
入口は広々としてしています。
左手の「禁殺生」の石柱には「享保甲辰」とあり、1724年に紀州藩が立てたそうです。
杉に守られた小道を歩きます。
真っ直ぐに伸びた杉の木立はとても気持ちが良くて、境内も清清しい雰囲気です。
地元では地名をとって「白木さん」とも呼ぶそうですが、
その名の通り木々が凛と立ち並ぶ境内は広大で、約5,000m2
(平成に入ってから22号線拡幅工事のため753.9m2を三重県に譲渡)。
さすがは内宮摂社第3位の位のある神社です。
倭姫命に御園の地を奉ったといういわれにより定められとされています。
古来、国津神(その土地を献上した神々)を祭神とする神社は正税によって建て替えが行われたのですが、
園相神社を含む格式の高い6社は内宮の遷御が完了すると造神宮使によって建て替えられたといいます。
寛文3年(1663年)神宮大宮司の河邊精長が旧社地の探索を行ったことで再興されます。
ただ、当初の再興地の度会郡積良村(現・玉城町積良)が鎮座地であることに疑問を持たれ、
30年後にこの地が正統の鎮座地であるとして移されました。
(摂社末社では度々このようなことがみられるます)
御祭神の曽奈比比古命、御前神は同座していますが、
古代はそれぞれ別の社に鎮座していて、社殿は2つあったとされます。
(鎌倉初期の建替えでは二社あったようですが
その後、御前神の社は建てられなくなったといいます)
どちらもこの地域の神で、神宮の御園(田んぼ)を守る神ともされています。
御前神は「○○御前神社」という摂社末社があることからも
その地の主となる神社の神を守る、門番の神で相殿神であると私は考えています。
曽奈比比古命は倭姫に国譲りをした園作神(そのつくりのかみ)であるとされ、
『皇大神宮儀式帳』では大水上命(おおみなかみのみこと)の子であるとされています。
香川県三豊市にある「大水上神社」は大水上大明神を御祭神としますが、
この大水上大明神も大山積神(大山津見神)であるとも言われるそうです。
伊勢の神様を紐解くと、山の神からの水の神の系譜によく辿りつく気がします。
また面白いのは、園相神社は歯痛にご利益があるという信仰があり、
全快すると萩の箸を12膳奉納するお礼参りの慣習があったそうです。
こちらの御祭神はイザナミ命。
興味深い繋がりですよね。
他にも歯痛とつながりのある「白山神社」が見受けられます。
「白木さんの山の神の御子神」→白山…はムリがありますかね?(笑)
『皇大神宮儀式帳』に「形石坐」とあるように、
御神体は「石」であるとされています。
伊勢国には磐座(いわくら)が多いので、やはり古代にこの地を治めた神、
もしくはその一族の氏神であってであろうと思います。
摂社末社は、その地の神を尊び祀るだけではなく、
神宮が祭祀を司ることによって併合した記録を伝えているとも思います。
(2019年10月23日参拝)