伊勢河崎ときどき古民家

伊勢と河崎の町と神社と古民家と好きなものに囲まれた日々のコラムです

蘇民将来と河崎

当ブログでは2度程、蘇民将来スサノオの命のお話をしました。
この蘇民将来の説話に出てくる神様は「牛頭大王」だと言われています。

この牛頭大王がスサノオの命が神仏習合本地仏である、と言われています。

 

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河崎の「七種神社」さんでは「天王祭」が毎年7月に行われます。

地元では「天王さん」と呼ばれ、伊勢市内でも特に大きなお祭りのひとつです。

この「天王さん」は「牛頭天皇」のことです。

元々は「天皇祭」と表記していたそうですが、

天皇陛下に不敬」という考えもあって「天王」と書くようになったそうです。

 

 

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そして七種神社には不思議な言い伝えもあります。

「境内の藤の花が咲く時に、強い力士が誕生する」というお話。

 

これは、河崎の生まれの力士が、牛頭大王の御信託を得て大活躍をしてという民話に出て来ます。
(このお話の詳細はまた後日…)

 

このお話と似た系譜なのが「相撲稲荷」のお話です。

まんが日本昔ばなし〜データベース〜 - 相撲稲荷

このお話の舞台が「八王子」なのですが、

スサノオ(牛頭大王)の子どもを「八王子」と呼び、全国の八王子社で祀られています。

 

そして、この牛頭大王の子は「七」王子と一姫だったそうで…。

 

七種神社さんの奥には、そう、お稲荷さん!

 

何だかとても興味深い一致ですよね。

 

 

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伊勢飾りの「蘇民将来」といい、アマテラス大神の神領地でのスサノオ信仰…。

この謎が、私を伊勢の郷土史民俗学に興味を持ったきっかけでもあるのですが
この答えのない謎解きは本当に面白いです。


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京都の祇園さんに伝わる『祇園牛頭天王御縁起』には、
花嫁を求めた牛頭大王が竜宮に行く話も出て来ます。

 

ん?竜宮?リュウグウノツカイ???
昨日お話しました「リュウグウノツカイ≒アマビエ≒スサノオ(牛頭天皇)」との言葉の符号!
そして、伊勢の蘇民将来の護符に描かれる「セーマン・ドーマン」は海女さんのお守り。

伝承の流れの一つが見えて来そう?

 

若干余談ですが、この牛頭大王は元々は行役神(疫病神)だったそうです。
平安時代、『壁邪絵』(悪い神様を懲らしめる善い神様の描かれた壁画)には、

疫神や牛頭天王をつかんで食べる天刑星が描かれています。(奈良国立博物館蔵)

日本は怨霊を祀ってその災いを鎮める信仰がなされていますから、

行役神であった牛頭大王を祀ることで疫病を退散させようとし、

符号の多い神様であるスサノオ神仏習合することで善神となったのではないでしょうか。

更にこの「疫病」という符号から
蘇民将来に出てくる「武塔神」とも和合していったのでは?と推察出来ますよね。

毎年夏7月から始まる祇園さんは疫病封じのお祭りが起源です。
河崎の天王さんも7月。
その頃にはこの疫病が鎮まっていっていますよう、祈っています。