河崎橋物語
勢田川を運河として栄えたここ伊勢河崎の町は
橋の町でもあります。
旧「いと志や」(N邸)のすぐ横を通る「中橋」はその中でも最も古い橋で、
そのためこの界隈は「里中」と呼ばれ町の中心地でした。
今もいと志やのはす向かいほどの場所に河崎郵便局がありますが、
昭和の時代までは銀行などもあり、まさに町の真ん中を占める大事な機関が集まっていたそうです。
いと志やのお向かいの角(伊勢っ子の皆様はケーキ屋「アトラス」があったところとして有名)には
百五銀行があったそうです。
今は交通形態が車に変化したためか、もう少し八間道路側にありますが…。
では、なぜこの場所に最初の橋が架けられたのでしょう?
その理由には、やはり伊勢ですから神宮のお話が絡んで来ます。
地図をご覧いただくと、中橋は神宮と二見をつなぐ立地にあるのがわかります。
この道は「塩街道」と呼ばれ、二見でつくられた御塩が神宮に奉納されるために通った道とされています。
(注;グリーンのラインは大まかなものになります)
つまり、逆に言いますと、
神宮に御塩を奉納するためには、ここに橋が必要だったのです。
謂わばシルクロードならぬソルトロードですね。
そして時代が下るにつれ、生活のために勢田川には橋がどんどん架けられていきます。
現在勢田川にかかる橋はこのような感じです。
地図の下方伊勢市郵便局辺りから順に
錦水橋
桜橋
清田橋
清浄坊橋 (この辺りから河崎)
南新橋
中橋
北新橋
↑写真はいと志や2階から眺める南新橋夕景。
なんとも贅沢な眺めです。
ちなみに、
現在も二見の「御塩殿神社」では神宮に奉納する御塩が昔と変わらぬ方法で作られ、神宮に奉納されていますが
残念ながら運ばれる道は上記のソルトロードではなくなっています。
ただ、清浄坊橋のすぐそばの「旭湯」さんでは
毎日二見から運ばれる海水で汐湯を楽しむことが出来ます。
現在のソルトロードは神宮とそしてここ旭湯さんにつながっている、という感じですね。
とってもアットホームで、地元に愛されつつも旅行者にも優しいお風呂屋さんです。
お伊勢参りは沢山歩きますので、汐湯でほっと一息はいかがでしょう?